アブサン研究報告

タイプ分類
※旧3タイプ以外のスタイルが各種日本で流通されたため2007年に8スタイルに改訂。
2008年、果実系の香りがするアブサンを追加。
2011年アブサン系クリーム・リキュールが輸入されたので追加。

当協会は以下の9タイプとアブサンリキュールに分類した。


スタンダード・スタイル−STANDARD−st
ペルノーアブサンを代表とするもっとも、メジャーなスタイル。
黄緑色〜黄色の色調で加水すると濁り、アルコール度は55〜70度で68度が最も多い
代表銘柄:ペルノー・アブサン、アブサント55、ヘルメスアブサン初期




スイス・スタイル −SUISSE STYLE−su
蒸留後にハーブを入れて色づけを行わず無色透明、加水すると良く濁る
代表銘柄:キュブラー、ヴェルサント・ラ・ブランシュ、アンエミル・ブラン



アニス・スタイル−ANIS STYLE−an
アニスの香りが強く、甘さも強い、加水した場合白濁が著しい
フランス系のアブサンに多く、アニス酒やパスティスにニガヨモギを加えたスタイル。
代表銘柄:アブサンティーン、ヘルメスアブサン後期・ヴェルサント



スパニッシュ・スタイル− Spanish STYLE−sp
スペイン系のアブサンに多く、アニスよりもフェンネルを強めたスタイル。
銘柄によってはアニスが入っていないと表記されている物もある
加水しても余り濁らないのが特徴
代表銘柄:NS


ボヘミアン・スタイル−BOHEMIAN STYLE−bo
人工的な着色料を使い色が鮮やかな緑色。ニガヨモギの香りが強く、甘さが控えめ、加水した場合は余り濁らないケースが多い。
チェコやフランス系に多い、アニスよりも他のハーブの香りが優先することが多い。度数は60〜70度と高いケースが多い
代表銘柄:チェコ・アブサン、トレーネ・アブサン、ユニコーン、ハプスブルグ




ニュー・スタイル−NEW STYLE−Ne
伝統的なスタイルではなく、直接的な甘さがあり、メロン・チェリーやマンゴーなどのフルーツに近いフレーバーを感じる新しい味のアブサン。加水しても濁らないケースが多い。
代表銘柄:アブシント・バード



ビター−BITTER −bi
苦みが強く、ツジョン濃度も高く、ビターとして少量使うのを目的としたもの
代表銘柄:エクストリーム・アブサン



密造スタイル−CLANDESTINE−cl
色が濃く、強烈なハーブの香りが強い。味わいも刺激的。
代表銘柄:アブサン・ゴシック、アーカム(共に日本には未輸入)



カラーアブサン−COLOR−co
レッドアブサンなど着色料によって赤や黒、青、黄色とカラフルな色彩を付けたもの。
代表銘柄:ハプスブルグ・レッドアブサン、トレーネ・ノワール


アブサン・リキュール



アブサン・クリーム −Cream−
アブサンを使ったクリーム系のリキュール。
スペインやフランスで作られている、アブサン味のクリームリキュール。度数は低く18〜20%。
ベイリーズやスコッチ・クリームのアブサン番
代表銘柄:アブサント・ラ・クリーム

アブサンに近縁なお酒
アブサンに非常に近いお酒

パスティス
アブサンが禁止されて代用に作られたリキュール。
ペルノーやリカールが有名

アニゼット
フランスで作れれるアニスリキュール

ラク/ウゾ
ウゾはトルコで作られるアニス系スピリッツ、ウゾはギリシャで作れるアニスやフェンネルで作れれるスピリッツ

アニスディスティラード
アニスを中心に配合した蒸留酒

フェンネル系リキュール

ジェネピー
高山ニガヨモギとも呼ばれるジェネピーから作られるリキュール。

ハーブサント
元はアメリカが中心となって作られた代用アブサン。アブサンからニガヨモギを抜いたり、
アブサン以外のニガヨモギに変えた代物

約80年前に禁止になった理由

 アブサンの代表的な成分である、ツヨンに中毒性があるとされたのが事の始まりであった。ツヨンは大麻の成分と同じ中枢神経のレセプターに作用すると考えられている。(現在はこれを否定する論文もあるようだ)。ゴッホが晩年自分の耳を切り落としたのはアブサンの飲み過ぎとの逸話(ゴッホは重度の精神不安と白ワインを多飲したための慢性アルコール中毒と言われている)や、Lanfray murders事件(アブサンを飲んだ後に家族を銃殺し、自殺するショッキングな事件)が起こったりした。また当時、世の中は戦争の脅威や不況・世紀末のため荒廃しており、アルコール中毒者が多かったようであり、政治的な介入(安価に手に入るアブサンを取り締まればアルコール中毒者が減るだろう)なども重なってアブサンがやり玉に挙がり、アブサン禁止令につながったと思われる。同時期にはアメリカの禁酒法が制定されている。

アブサン中毒及びアブサンの危険性

 アブサン中毒とは、アブサンを飲み過ぎたために起こる、幻覚や異常行動とされ不安感、不眠、悪夢、おうと、めまい、震え、けいれんなどの症状があるとされ、ツヨンという神経毒がその原因物質とされる。しかしながら、慢性アルコール中毒の禁断症状である不安感、頭痛、不眠、イライラ感、発汗、震え、めまい、吐き気、と明確な区別をつけることは出来ない。アブサン中毒患者は、、70度くらいの高アルコール飲料であるアブサンを1日1本以上摂取するような人であり慢性アルコール中毒に罹らないのがおかしい量を飲んでいた。また、禁止末期の19世紀末〜20世紀初めまでは、粗悪な密造品などによる金属や鉱物原料の着色料の使用、粗悪な蒸留による高メタノール含有、アヘンや麻薬物質の使用などの粗悪なアブサンが横行していたため、アブサン以外の不純物による影響も多くあったと考えられる。
 ツヨンの毒性についても、禁止理由になった論文自体に科学的な誤りが認められ、スイスでの解禁理由になったりとツヨンの毒性は現在疑問視されている。
 現在のアブサンはWHOにより安全な量のツヨン濃度発表され、EU各国ではこの基準に沿って作られている。チェコなどには100ppm以上の高ツヨン濃度のものも存在するが、中毒を起こすほどの量ではないとされており、少なくともニガヨモギ量で数十キロ分を摂取しない限り、ツヨンの毒性は問題にならないだろうと考えられている。
以上のことから、現在ではアブサン中毒は慢性アルコール中毒やその他の有毒物による影響によるものだったと考えられている。
少なくとも慢性アルコール中毒にならなければアブサン中毒にはならない。

※現在は慢性アルコール中毒は、アルコール依存症と表記されていますが、生活や他人に影響下がない「大量飲酒者」もアルコール依存症へ含まれてしまうため、他人や生活に障害がある重度のアルコール依存症という意味で旧名で表記しました。

中世のアブサン

 アブサンの表記はどうやら中世の文献にも存在するらしく、錬金術師や医者が作る薬の一種でワインにニガヨモギを漬け込んだり、一緒に発酵させたりして作るベルモットがアブサンの原型と考えられる。(ベルモットの語源自体がドイツ語のニガヨモギに由来する)。現在でもスイスのヴェルト・トラ・ヴェル一帯では、ニガヨモギの薬が家庭で作られて使われている。その後(参照:ディオスコリデスの植物誌、クリフトス作アブサン)12〜14世紀に蒸留法が発見され。高アルコールである蒸留酒の発達とともに数多くあるリキュールのように製作者の秘伝とされ密かに語り継がれたと推測される。

アブサンの誕生

 アブサンには大きく2種類存在する。一つはペルノー・フィス社を代表とする工場生産で作られた品物。もう一つは、工房と呼ばれるような小さな蒸留所で手作業で作られるもの。クリストフ作の「アブサン」には南フランスで作られていた「ジャンティアナ・リュティア」と呼ばれる一品が登場する。工場生産品のツヨン濃度は10ppm〜100ppm以内だったようだが、工房で作られる一品には12%(120000ppm)のツヨンが含まれるのもあったららしい。(これは小説内での記載で確認は取れていない)
 
工場生産品の始まりは、1790年頃ヴェルト・トラ・ヴェルのクーヴェに生まれ育ったピエール・オルディネール博士/Pierre Orbinaireが地元のニガヨモギを原料とする薬に蒸留技術を導入し独自の薬を考案した。当初の製法はジンと同様の作り方で、ジンがジュニパーベリーを使い利尿作用を期待した物であったのに対し、これをニガヨモギに代えた物だった。 オルディネール博士は、スイス、ヌーシャテルの近くのヴェルト・トラ・ヴェル、クーヴェ出身の人でそこでアブサンを処方を完成させた。その後、税金の関係上でフランス東部フランシュ・コンテ地方ポンタリエに移り住んだ、自分で作るだけで企業化することはなかった。(直線距離で30km以内の隣村同士で実際はクーヴェとポンタリエを交互に行き来していた模様)この処方は、家政婦アンリオ姉妹/Henriodに渡り、アンリオ姉妹の知り合いの軍人であったアンリ・デュビー/Henri Dubiedがその処方箋を買い取った。1797年にその後婿養子のアンリ・ルイ・ペルノ/Henri Louis Pernodと共同して工場を立てて商品化した。1805年にフランスでの需要が増えたため工場をポンタリエ市に新設しペルノー・アブサンとして量産された。

 一方、工房で作られていたアブサンは工場生産品のアブサンがフランスで爆発的な普及を見せた1860年頃から密かに作られていた模様で禁止後の密造時代へと続いていく。

※現在ではオルディネール博士とアンリオ姉妹が本当に実在したかどうかの論争が持ち上がっている。


禁止中のアブサン

 1907〜1910にスイスで段階的に、1915年フランスで製造、販売禁止。その後、1981年WHOツヨンの使用基準見直しが行われるまでアブサンはアンダーグランドな物となる。アブサンメーカーは代用にアニス系リキュールやパスティスを作り始めた。しかし、スペインや社会主義国での製造やスイスでの密造は続いており、禁止国においてはBARの裏部屋でこっそりと飲まれていた。またペルノー社もスペインに工場を移し1960年代まで製造を続けていたようで、「アブサン・ペルノ・フィルズ・タラゴナ」と呼ばれていた一品が存在する。日本では食品添加物としてニガヨモギ抽出物が認められていたため、禁止されていなく、少なくとも1960年代にはサントリーのヘルメス・アブサンやモロゾフ・アブサン(現モンデ酒造)を作り始めており、昭和33年に発行の洋酒辞典にもペルノー・フィールズ社のアブサンが紹介されていた。日本のBARでは、それほど珍しい酒ではなかった。

現在のアブサンの状況
 
1981年WHOのツヨンの使用基準の見直しを行い、1988年にフランスでアブサンは解禁されたが、需要の少なさから2000年頃までアブサンの製造は行われなかった。最初に日本に登場したのはプロブナンス社の「アブサント55」で、醸造技術と蒸留技術の向上によりツヨンを除去することに成功し商品化されたというふれこみであった。ツヨン入りのアブサンはそれから数週間後に販売され始めた「トレーネ・アブサン」で、アブサンの定義の違いにより両社でそれぞれ本物だと争いがあった。2002年年末から2003年夏に強力なアブサンが日本に入ってきた。工場生産のオリジナルの販売元ペルノー社より「ペルノーアブサン」が年末に、30ppm級の高ツジョン系アブサン「ヴェルサント・ラ・ブランシュ」「エクストリームアブサン」が2004年夏頃に輸入されはじめた、現在正規輸入品と国内品合わせて10種類が以上を日本で楽しむことができるようになった。


世界のアブサン

  現在アブサンは世界各国で作られているが、注目すべき国はフランス・スイス・スペイン・チェコ・ドイツで種類豊富に作られている。特にチェコはツヨンが100ppm近く含まれるものや、赤いアブサンや昆虫入りなど非常に興味深いものが多い。日本でこれらを飲むことはかなり難しく個人的に旅行者が購入してきたものや個人輸入したものに限られている。また、2007年現在でもフランス・スイスでさえ、解禁されたのを知らずに禁止されたイリーガルな飲み物だと思っている人も多い。

禁止前のアブサンは飲めるのか?

噂1:某アブサン輸入代理店の人の話

アブサンは熱烈なファンが多く、当時のアブサンが残っている率は非常に高い。海外のオークションで希に出品され50万〜100万円前後で取引されている。

噂2:某BARの噂

 禁止前のアブサンはまず無理だが、80年前の日本のブランドヘルメスのアブサンならまだ飲める可能性が残っている。(銀座の酒仙堂さんに50年前以上のヘルメスアブサンがあったとのことですが現在はボトルも無いそうです。)

噂3:インターネット某HP

 ビンやポスターは残っているようで映画「ムーランルージュ」に登場するアブサンの瓶は当時のものであり、色もペルノー社が当時の色を再現したらしい。

噂4:某銀座スペイン系のBAR

 2003年頃に日本に2本入ってきたが1本は銀座の某マ○○○○サ○ラもう一本は、高田馬場のカ○ヴェ○へ

噂5:某BARの噂

 関西系統のBARが数本持っていたが阪神淡路大震災で全て灰になった。

噂6:某スペインBAR

 偶にスペインのオークションで出品される。


体験1:某蓮根のBAR
 フランス、ポンタリエのエミル・ペルノー社皆様のご厚意でクーヴェで発見された1915年前のアブサンを試飲させて頂きました。皆様スミマセン。

 

パスティス?アブサン?本物のアブサン?
プロヴナンス社アブサント55とヴェルサント、ヘルメス・アブサンについてアブサンかパスティスか?の論争がある。アブサンとはなんぞや?と言う定義の問題で、ニガヨモギの量が少なく、アルコール度・ツヨン濃度が低い場合アブサンではなくパスティスだと主張する人たちがいる。これらは非常にあやふやな定義で、使われているニガヨモギの種類、アルコール度、ツヨン濃度どれをとっても一貫した説明ではない。ニガヨモギの種類をArtemisia absinthiumだけにするならばオウシュウニガヨモギを使って作るアブサンはすべて外れる。アルコール度60%以上ならばアブサンの聖地のヴェルト・トラ・ヴェル産はほとんど外れる。ツヨン濃度を昔の水準と言われる35ppm以上とするならばヴェルサント・ラ・ブランシュ、エクストリームアブサン等一部以外はすべて外れてしまう。
またこれを過激にした本物のアブサンを語る一部のスノップもいる。本物とは色は薄い黄緑色でアルコール分68度でツヨン濃度が35ppm以上、加水すると白濁し、非常に強い芳香。スイスやフランスの山奥で密造されたもの、または1915年以前に製造されたアブサン以外はすべて偽物と主張する。これらを満たす条件のヨーロッパやアメリカの密造品、ペルノー社のスペイン・タラゴナ産、80ppm近辺のテストバージョンや1890年頃のアブサン、チェコの100ppm、を飲んだことがある経験から、現行のアブサンとはそこまで、大きな違いを感じることは出来なかった。もちろん、グリーンフェアリーが見えたこともない。また、ツヨン濃度が低くても美味いアブサンもあるし、100年前のアブサンを分析したらツヨンは数ppmだったとする論文もある。堅い定義を付けては個人の嗜好を縛ることになるだろう。今後のアブサンの発展、様々な薬草酒アブサンとしてのバリエーションの広さもこのお酒の魅力の一つではないだろうか?
そのために当協会は視野を広くしてニガヨモギが入っているアルコール度が高い酒(25度以上)をアブサンとする主張をとらせてもらっております。


アブサンの作り方
※注意:日本ではアルコール製造に伴う蒸留は法律で禁止されています。

オルディネール博士の製法
 ニガヨモギを主体にアニス、アンゼリカ、ファンネル、スターアニス、パディアン(シキミ)、パセリ、コリアンダー、カモミール、ベェロニク(クワガタソウ)、パーム・ミント、ヒソップ(ヤマハッカ)、オレガノ、カラマス、メリッサなど15種類をスピリッツに浸漬後、16リッターの小型蒸留器で68度のリキュールに仕上げた。ツヨン濃度は30ppm程度で 蒸留時にジンヘッドへ薬草を詰めて蒸留、無色透明で、加水白濁は生じにくい。

エミル・ペルノー社の製法
 ニガヨモギ、小ニガヨモギ、メリッサ、ヒソップ、アニス、ファンネルの6種類を中心に複数のハーブを使用、原料のハーブは日陰で一週間程度乾燥させる。まずは、材料のハーブと水、97%のアルコールを入れ沸騰抽出後、蒸留、80%前後の蒸留液になる。その後、着色用のハーブを加え、加水後製品化される。原料アルコールは、砂糖大根とワインベースの97%醸造用アルコール。

ブラックミント社の製法
 ニガヨモギ、アニス、フェンネル、ヒソップ、メリッサ、スターアニスの6種類をベースに他に8〜9種類のハーブを使用。材料のハーブと97%アルコールと水を入れ、蒸留器の中でゆっくりと暖めながら72時間ほど抽出後、蒸留する。蒸留後1週間ほど寝かせてから濾過後加水し、53%の製品と45%の製品に調節する。無色透明で加水すると白濁する。

代表的なスイスアブサンのハーブ
 ニガヨモギ、メリッサ、ヒソップの3種類がベースで、その他アニス、フェンネル、スターアニス、リコリス、小ニガヨモギ、ミント、コリアンダー、カモミールなどが用いられる。

密造アブサンの製法1(スイス密造スタイル)
30g ニガヨモギ
8.5g ヒソップ
1.8g カラマスルート
6.0g メリッサ
30.0g アニスシード
25.0g ファンネルシード
10.0g スターアニス
3.2g コリアンダーシード

大きなジャーに乾燥した薬草を入れる。薬草を僅かに水でしめらせて、85-95%のアルコールを800ml加える。
時々ふりながら数日(1週間ほど)抽出する。その後水を600ml加え、混ぜ合わせて1日寝かせる。薬草を圧搾して濾過し、上澄みを取る。これを蒸留した液体に
4.2g ミント
1.1g メリッサ
3.0g ニガヨモギ
1.0g シトロン皮
4.2g カンゾウ根
を加え色が付くまで寝かせた後に濾過する。好みでシロップや砂糖で甘みを付ける。

簡易アブサン製法1

 ウォッカに乾燥ニガヨモギやその他ハーブを適量入れ1ヶ月寝かせ、甘みを調節する。

簡易アブサン製法2

 市販品アブサンにニガヨモギを適量入れる。

簡易アブサン製法3
 1Lのベルモットにニガヨモギを30g入れ1週間寝かせる。これを蒸留し、再度3gのニガヨモギと4gのミントを入れ色が付くまで寝かせて完成。

中世のアブサンのレシピ

 どれも主にベルモットに近いもので「Apsinthites」と表記されたようだ。(参照:ディオスコリデスの植物誌)

レシピ1

 1ポンド(約0.45kg)のポントスのニガヨモギを48セクスタリウス(約25.4L)に混ぜ、はじめの量が3分の1になるまで煮詰める。その後それに6セクスタリウス(約3.2L)の発酵前のブドウ液と半ポンド(約0.23kg)のニガヨモギを入れ、注意深くかき混ぜてから容器に移し、澱が底に沈殿したら濾す。

レシピ2

 1ポンド(約0.45kg)のニガヨモギをきざみ薄いリンネルの布でくるんで1アンフォラ(約25.6L)の発酵前のブドウ液の中に入れ2ヶ月間寝かせる。

レシピ3

 3ないし4オンス(約93〜124g)のニガヨモギ、シリア・ナルド、シナモンの皮、カッシア桂皮、フェニキアのナツメヤシの花、匂い茅、をそれぞれ2オンス(約62g)ずつ乳鉢で細かく砕き、発酵前のブドウ液1メトレータ(約39L)に入れ、瓶にしっかりと栓をして2ないし3ヶ月寝かせる。そうした後、濾して別の瓶に入れて保存する。

レシピ4

 ケルト・ナルド14オンス(約434g)とニガヨモギ40オンス(1.24kg)をリンネルの布でくるんで、1メトレータ(約39L)の発酵前ブドウ液に入れ、40日寝かして別の容器に移して保存する。

レシピ5

 1ポンドのニガヨモギを、2オンス(約62g)のロジンを含む20セクスタリウス(10.6L)の発酵前ブドウ液に入れ、10日後に濾して保存する。